悪を挫くマリーゴールド
五月某日
ふと気が向き、ホームセンターへ出掛ける。
家から少し遠めの大規模なホームセンターに入る。今の時季は園芸が盛んな様で、入り口の周りに一株売りの花と野菜の苗やプランター、培養土が沢山置かれていた。なんとかわいい色合いの花達! 花の蜜の匂いに吸い寄せられるミツバチの如く、ふらふらと近づく。
花を育てるのは難しい。人間は一日くらい寝なくても食べ過ぎても直接的な問題はないけれど、お花はそうはいかない。しかし、お花に纏わる短歌を読んでからというもの、花が気になって仕方がない。雨の短歌を読めば雨が好きになる様な、単純な性格なのである。
どれも可愛いなぁ、どれにしようかな。あ、薔薇が売ってる。薔薇って切り花だけじゃないんだ、いつか広い庭でバラ園みたいにして育ててみたいなぁ。わぁ、赤い色のラナンキュラス、素敵だなぁ。でも小さなお花も可愛い。おおきな鉢に植えたらキレイかも。うーん、悩む。
それから数日経ち、はじめは四つほどしか開いていなかった花びらが、今は花全体がまぁるい形になるほど沢山開いている。これがとても美しく、可愛らしいのだ。
この花がいつか枯れてしまう事が、とても寂しい。