猫田の徒然なる日記

ほぼタイトル通りです。twitter @nekotamario

アンジュルム 『九位一体』 ~田村芽実卒業スペシャル~


五月三十日

劇場に入ると、既にオープニングアクトが始まっていた。

前の日の夜、ホームページで「当日券販売」の文字を見つけた私は朝早くに劇場へ向かった。
この日、日本武道館にて開催される「アンジュルム コンサートツアー 2016春 『九位一体』 ~田村芽実卒業スペシャル~」のライブビューイングのためである。当日券ということもあり、前四列以外の席は二席しか空いていなかった。そんなギリギリで最後列の座席を確保した後グッズをいくつか購入し、駅前にある手軽なコーヒー屋へ向かう。

テイクアウトにするか否か。ホットにするかアイスにするか。悩む。うぅん、今日は特に予定もないしアイスコーヒーを飲んで一息つこう。そう思ってアイスコーヒーを注文する。と、店員が
「アイスラテワーン!」
…………あれ? アイスコーヒーの呼び名は「アイコ」か「アイス」ではなかっただろうか。この店ではラテという扱いなのか。うーん?

窓に面したカウンター席に座り、外を行き交う人々を眺める。スーツ姿の男性や着物姿のお婆さん、髪を明るく染めた若者。人の数はさほど多くはないが、様々な装いをした人々が通り過ぎてゆく。偶にはこういう時間も悪くない。コーヒーの色よりも遥かに明るい、薄茶色の飲み物を一口飲む。


開演時間の十五分程前に劇場に着く。劇場独特の甘い匂いに加え、夕飯時刻ともありジャンクフードの匂いが充満していた。用事が長引いてしまい夜ご飯を食べられなかった私にとって、この匂いに慣れるまでの数分は空腹を再認識させる辛いものであった。

座席に着くと、朝購入しておいたペンライトを持って色の確認を行う。おぉ、眩しい。目がぼやぼやするし、スクリーンが見え辛い。しかし周りを見渡すと、周囲の人々は問題なく点灯させて振りながら楽しんでいた。えぇ〜、見えるの? 振った方がいいのかなぁ。と、隣にスーツ姿の男性が座る。思わず動きを止め、この人もペンライト振るのかな、と横目で様子をみる。

…………。振る気配がない。そもそも指一本動いていない? 疑問に感じながらも、私はそっとペンライトを鞄にしまった。


場内アナウンスの後、コンサートが始まった。
次々続々を観ながら、誰に向けてでもなく「見なさい、アンジュルムは最高だ!」と心の中で自慢したり、プリーズミニスカポストウーマンで当時のミュージックビデオをモニターで流す演出にオイオイ泣いたり、スマイルファンタジーを歌うとはまさか思わず「反則だ〜〜!」とエンエン泣いたり、交差点でみんなの泣き顔にワンワン泣いたりした。


泣いてばかりではあったけれど、コンサートが終わりに近づくにつれて寂しさや悲しさよりも田村芽実ちゃんに対して、希望に似た光を感じるようになった。そこに卒業=別れという方程式は無かった様に感じた。

最後に歌った「友よ」という曲に、こういった歌詞がある。
さよならじゃない  そうバイバイだ!
彼女がしたのは「さよなら」ではなく「バイバイ」だったのだ。

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田村芽実さん、アイドルでいてくれてありがとう。